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Dockerのネットワークモデルやセキュリティについて
Dockerネットワーキングについて
Dockerのネットワーキングは、コンテナ化されたアプリケーションが通信するためのしくみです。
以下は、基本的なDockerネットワーキングの概念を理解するための簡潔な説明です。
bridgeネットワーク
Dockerでは、デフォルトで「bridge」と呼ばれるネットワークが提供されます。
bridgeは、ホストマシン上で実行されているDockerコンテナ同士が相互に通信するためのネットワークを提供します。これにより、各コンテナはホストから独立したIPアドレスを割り当てられ、ネットワーク上で分離された状態で動作します。
通常、Dockerをインストールすると、bridgeネットワークが自動的に作成されます。このネットワークでは、各コンテナが異なるIPアドレスを持ち、同じネットワークに属しているため、相互に通信が可能です。
例えば、あるWebアプリケーションがbridgeネットワーク上で動作している場合、そのアプリケーションに関連するコンテナは同じネットワークに接続され、互いにリクエストやデータをやり取りできます。
bridgeネットワークは、ユーザーが特に指定しない場合、Dockerがデフォルトで使用するネットワークモードです。しかし、ユーザーは独自のカスタムブリッジネットワークを作成することも可能で、それによって異なるコンテナを別々のネットワークに分離することができます。
簡単に言えば、bridgeはDockerコンテナが互いに通信するための架け橋のような存在であり、各コンテナにはそれぞれ独自の通信用のIPアドレスが与えられています。
hostネットワーク
「host」ネットワークは、Dockerコンテナがホストマシンと同じネットワーク空間を共有するためのネットワークモードです。以下は、hostネットワークの基本的な説明です。
hostネットワークを使用すると、Dockerコンテナはホストマシンと同じネットワークに参加します。通常、Dockerコンテナは仮想のネットワークに属して独自のIPアドレスを持っていますが、hostネットワークでは、ホストマシンと同じIPアドレスを共有します。
これにより、コンテナはホストマシンのネットワーク設定やポートマッピングを直接利用できます。コンテナがホストのIPアドレスを使用するため、特定のポートをバインディングすると、コンテナ内のアプリケーションはそのポートに対するリクエストを直接ホストマシンから受け取ることができます。
hostネットワークを選択すると、コンテナのネットワーク設定がシンプルになり、ホストと同じネットワーク環境での通信が容易になります。ただし、このモードではポートの競合に注意する必要があります。同じポートをホストマシン上で既に使用している場合、コンテナがそのポートを使用できません。
簡単に言えば、hostネットワークはDockerコンテナをホストマシンと同じネットワークに統合することで、通信を簡略化するモードです。
overlayネットワーク
「overlay」ネットワークは、複数のDockerホスト上のコンテナが通信できるようにするためのネットワークモードです。
overlayネットワークは、「Docker Swarm」と呼ばれるクラスタリングツールと連携して利用されることが一般的です。Docker Swarmは、複数のDockerホストを結合して、単一の仮想のDockerホストとして振る舞わせます。このクラスタリング環境において、overlayネットワークが役立ちます。
以下は、overlayネットワークの主なポイントです。
- マルチホスト通信
overlayネットワークを使用すると、異なるDockerホスト上にあるコンテナ同士が通信できます。これにより、複数のホストでアプリケーションをスケールアウトする際に、コンテナ間でデータやリクエストをやり取りできます。
- Swarmモードとの組み合わせ
overlayネットワークは、Docker Swarmの一部として機能します。Swarmを有効にしてネットワークを作成すると、異なるホスト上のコンテナが同じネットワークに参加できます。
- 暗号化通信
overlayネットワークは通信を暗号化するため、セキュアな通信が可能です。これは、分散環境でのデータのやり取りが安全に行える利点となります。
- 透過的なネットワーク
コンテナはoverlayネットワーク内で自身のIPアドレスを持ち、異なるホスト上のコンテナも同じネットワーク内にいるかのように透過的に通信できます。この透過性は、アプリケーションの設定を簡略化します。
簡単に言えば、overlayネットワークはDocker Swarmにおいて複数のホスト上のコンテナが通信できるようにするネットワークモードであり、セキュアで透過的な通信を提供します。
Dockerセキュリティについて
Dockerセキュリティは、Dockerコンテナ環境を安全かつ信頼性の高いものに維持するための一連のベストプラクティスと原則です。
以下に、Dockerセキュリティに関する主要な概念を分かりやすく説明します。これらのセキュリティベストプラクティスを遵守することで、Docker環境をより安全に構築し、コンテナアプリケーションのセキュリティを向上させることができます。
- コンテナの分離と制御
Dockerは、コンテナを分離された環境として提供します。各コンテナは他のコンテナやホストから隔離されており、プロセス、ファイルシステム、ユーザー、ネットワークなどが個別に管理されます。
- 最小特権の原則
最小特権の原則では、各コンテナは実行に必要な最小限の権限を与えられるべきです。例えば、root権限の使用は避け、必要な権限だけを与えることで、潜在的なセキュリティリスクを軽減できます。
- セキュアなベースイメージの選択
セキュリティの強化は、信頼性のあるベースイメージを選択することから始まります。公式リポジトリや検証されたイメージを使用することで、悪意のあるコードや脆弱性を最小限に抑えることができます。
- イメージの監査とスキャン
イメージを構築する前に、セキュリティスキャナや静的解析ツールを使用してイメージを監査することが重要です。これにより、既知のセキュリティの問題を検出し、修正できます。
- セキュリティアップデートの適用
イメージやベースイメージ、コンテナ内のパッケージを最新の状態に保つことが重要です。定期的にセキュリティアップデートを適用することで、潜在的な脆弱性を低減できます。
- ネットワークの制御
ネットワーク設定には、必要なポートのみを公開し、ネットワークの通信を最小限に制限することが含まれます。不要な公開ポートは悪意のあるアクセスの可能性を高めるため、避けるべきです。
- Docker Content Trust (DCT)
DCTは、Dockerイメージが信頼できるものであることを確認するための仕組みです。DCTを有効にすると、署名されたイメージのみが実行され、信頼性が向上します。